越前焼の素朴な味わい

越前焼の歴史は古く、約850年前に始まったと言われています。水指やすり鉢など、日常的に使うものを中心に焼き物が発展してきました。越前焼の土は鉄分を多く含んでいるため、焼き物にすると熱で表面が茶褐色に変色します。そのため、水漏れしにくく、水や酒などの液体、藍染などの染料を保存するほか、穀物の貯蔵や食料の保存にも使われました。

近代化とともに衰退の危機にありましたが、窯跡の発掘調査によって歴史的な重要性が認識され、復活を遂げました。日本六古窯の一つとして知られ、日本の伝統工芸品に指定されました。越前焼は、福井の土を使い、福井県内で焼かれた焼き物の名称です。現在、福井には約80の窯元があり、そのうち20の窯元が越前焼発祥の地である越前町で操業しています。

村の中心部にある福井県立陶芸館は、神棚を模した建物で、古越前型から現代越前型まで多くの作品を展示しています。また、館内には陶芸教室も併設されており、越前焼の作品づくりを体験することができます。さらに、美術館には茶室「茶苑」が併設されており、実際に越前焼に触れながら、日本の伝統的な茶の湯を楽しむことができます。つまり、越前焼の鑑賞に必要な「見る・作る・触る」の三拍子が揃った美術館なのです。

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